A: |
汚れを落とす主役は水です。埃や汗など水に溶ける汚れは水で落とすことができます。
しかし皮脂や、化粧品をはじめ化学物質の混じった油汚れは水だけで落とすことはできません。
このような油汚れを落とすために使われるのが、広義での洗剤(石けんと合成洗剤の2種類)です。
油汚れが水だけで落ちないのは、油は油でまとまろうとし、水は水だけでまとまろうとする性格があるため、分離してしまうからです。
この油と水のように二つのものが接する境目を「界面」と呼び、この界面に作用して、本来混じりあわないものを混ぜ合わせる働きをするのが「界面活性剤」です。
界面活性剤の分子は、水になじむ「親水基」と油になじむ「親油基」から成り立っており、
この親油基が油汚れにつき、親水基が水と結びついて、汚れを水中に引き離してくれるわけです。 |
A: |
石けんは、動植物の油脂をアルカリで煮てつくられます。
その中でも、水酸化ナトリウムで煮たものが「脂肪酸ナトリウム(ソーダ石けん)」。
固形や粉の石けんに、また水酸化カリウムで煮たものが「脂肪酸カリウム(カリ石けん)」で、液体の石けんになります。
家庭用品品質表示法ではこの二つを「純石けん分」と呼び、純石けん分を主成分としてつくられたものだけを「石けん」と定義づけています。
それ以外の、主として石油系の材料を用い、自然界では存在しない化学反応を経てつくられる「合成界面活性剤」を使用しているものはすべて合成洗剤です。
合成洗剤にも固形や粉や液体のものがあり、形だけで区別することはできません。
石けんは5000年もの長い間人類とともにあり、安全性が確認されています。
一方合成洗剤の歴史は浅く、このまま使い続けたとき、地球環境をどれほど汚し、人体にどれほどの害を及ぼすのか誰にも分からないのです。 |
Q: |
合成洗剤はいつ頃誕生し、どのように発展してきたのですか? |
A: |
合成洗剤は第一次大戦中にドイツで誕生。
第二次大戦後にアメリカで石油系の合成界面活性剤ABSが発明されると、合成洗剤はいっきに世界中に広まって大量消費時代を迎えました。
日本でも1950年以降、洗濯機の普及に伴って消費量は急激に増大していきました。
当初合成界面活性剤はABSが主流でしたが、生分解性が悪く河川の汚染を招き、世界各国で使用禁止となり、ソフトタイプのLASに切り替わっていきました。
次に洗浄補助剤として配合されていたトリポリりん塩酸が、生態系を破壊する「富栄養化」を引きおこす可能性が問題視され、1979年以降日本ではほとんど「無りん」になりました。
しかし合成洗剤が有害であることに変わりはなく、りんの替りに使われるようになったアルミノけい酸は水に溶けず、重金属を付着して環境汚染につながる恐れが指摘されています。
わずか半世紀余りの間に、合成界面活性剤の種類は劇的にふえ、使われる製品も多様化しました。
人体や環境にどんな影響がもたらされるのか明らかになっておらず、いまだ有効な対策もされないまま、問題は複雑化し、一般消費者には見えにくくなっているというのが現状です。 |
Q: |
合成洗剤は人の体にどんな影響があり、どんなふうに危険なのですか? |
A: |
●恐さその1・・・浸透性
洗い残した合成界面活性剤は皮膚や粘膜から浸透し、バリアゾーン(角質層・透明層)を破り、奥へ奥へともぐって皮下の細胞組織を破壊します。
やがては血管壁をも破って血液中に入り込み、最終的には全身の細胞にまで達する危険性があります。その驚異的な浸透性は、赤ちゃんを育てる胎盤をも通すと言われています。
●恐さその2・・・非分解性(残留性)
体内に侵入した合成界面活性剤は完全に分解されることなく残留し、長いあいだ使用するうちに少しずつ蓄積され、特に肝臓や生殖器に悪影響を与えます。
女性の場合子宮内にも蓄積し、家系にはないのにアトピー性皮膚炎やアレルギー、喘息の子供が生まれる原因になるとも言われています。
体内残留性について――合成洗剤のシャンプーなどを長期間大量に使い続けた女性が出産したとき、羊水が泡立ち、シャンプーの臭いがすることがあるそうです。 |
Q: |
合成洗剤が、体内に蓄積するとどうなるのですか? |
A: |
体内に入り込んだ毒物や毒性の物質は、本来肝臓によって分解無毒化されるわけですが、合成洗剤に関しては完全に無毒化することはできません。
なぜなら、合成洗剤は化学が生み出した産物で、もともと自然界に存在しないものだからです。
こうして体内に浸透し蓄積された合成洗剤は、さまざまな健康トラブルの原因になります。
ただし劇薬ではないため、すぐに症状が表れることはあまりありません。
長い期間にわたって細胞を破壊し、遺伝子を傷つけて、体の不調、原因不明の病気を引き起こします。
そのため気づかれることなく、「体質」や「遺伝」、「加齢」のせいだと思い込んでしまうわけです。 |
Q: |
合成洗剤を使い続けると、環境にはどんな影響があるのですか? |
A: |
石けんは濃度が薄れれば界面活性作用が失われ、分解も1日で行われます。
しかし合成洗剤はどんなに薄まっても界面活性作用は消えず、下水から川や海へ流れ込んだあともなかなか分解されません。
さらに合成洗剤は細胞膜を破壊する力が強いため、有機物を分解するバクテリアを殺し、水棲動物の生態系をくるわせ、本来自然が備えている浄化作用を破壊してしまいます。
このまま合成洗剤を使い続けると、人の健康を蝕んでいくだけでなく、地球を汚し、生命の源を脅かす恐れが懸念されているのです。 |
Q: |
合成洗剤って、そんなに沢山の種類があるのですか? |
A: |
石けんというと「体や顔を洗うために使う固形の洗浄剤」、合成洗剤といえば「洗濯に使う粉状の洗浄剤」あるいは「食器洗いに使う液体の洗浄剤」というイメージがあります。
合成洗剤が危険だというと、これらの洗剤をやめれば良いと思われがちですが、実際にはそうではありません。
一般に市販されている合成洗剤のうち、顔や体、髪の毛に関するものだけに限っても、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔クリーム、洗顔フォーム、シャンプーやリンス、練り歯磨きなどのほとんどの商品に合成界面活性剤が使われており、使い続けていると合成洗剤と同じ危険があります。
たとえソープという名前がついていても、石けんとはまったく別物なのです。 |
A: |
ボディソープにはラウリル硫酸やポリオキシエチレンラウリエーテル硫酸塩、ステアレス11、コカミドMAEなどの合成界面活性剤が使われています。
これらは発がん性やアレルギー性、胎児毒性などが疑われる危険なものです。
また液状で腐敗しやすいのを防ぐため、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤なども使われています。
たとえば石けんは原料が油脂なので、石けんカスにカビが発生することがあります。
ところが石けんをボディソープに替えると、バスルームにカビが生えなくなります。
これは強力な防腐剤が入っているためです。
他にも「うるおい成分配合」の名目で加えられる保湿剤、泡立てをよくするためのキレート剤などは、すべて化学的に合成されたもので、中には発がん性やアレルギー性が疑われるものがたくさん混じっています。 |
Q: |
「植物性100%」のボディソープを選べば安全ですか? |
A: |
肌に優しい、環境を汚さない、などのキャッチフレーズのもと、「植物性100%」「植物由来成分」「天然由来成分」などと広告している商品には、確かに動物や植物など天然由来の材料が使われています。
しかし問題は合成界面活性剤にあり、たとえ原材料が天然由来のものでも、合成界面活性剤が使われていれば、危険なことに変わりはありません。 |
A: |
大手洗剤メーカーが加入する「日本石けん洗剤工業会」の一覧表を見ると、洗顔クリームや洗顔フォームの主成分として、
モノアルキルホスフェイト、両性イオン界面活性剤、高級脂肪酸アミン塩、非イオン系、陰イオン界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤、アシルグルタミン酸ナトリウムなどと書かれており、
これらはすべて合成界面活性剤です。
便利で快適な生活が当たり前になり、美しい女性が登場するCMでは、素敵な生活シーンの中で、いかにも肌によさそうな商品が次々と生まれています。
しかし顔を洗うのに、何か特別なものが必要なわけではありません。
むしろ健やかで美しい素肌を保つためには、純石けん分以外に危険なものが何も入っていない、無添加の石けんで顔も体も洗うのが一番です。 |
Q: |
石けんにも危険な添加物が入っているものがあるというのは本当ですか? |
A: |
「純石けん分」を主成分として作られる石けんにも、有害な添加物が入っているものがあります。
たとえば一般の家庭でごく普通に使われている浴用石けん(化粧石けんとも呼ばれています)で、有名メーカーA社製品の場合、ポリエチレングリコール(保湿剤)、ジブチルヒドロキシトルエン(酸化防止剤)、エデト酸塩(金属イオン封鎖剤)が入っており、これらは皮膚や粘膜に炎症を起こしたり、発がん性の恐れがあるものです。
浴用だけでなく、洗顔用、薬用、ベビー用など大量生産品の固形石けんのほとんどのものは、酸化防止剤、金属封鎖剤、殺菌剤などの化学物質を添加して販売されています。 |
A: |
殺菌・消毒効果や体臭を消す防臭効果、ニキビや肌荒れ防止などの目的で薬剤を添加したもので、「医薬部外品」として扱われています。
薬用石けんには、肌の殺菌消毒を目的にしたデオドラントソープと、肌荒れ防止を目的にしたメディカルソープの2種類があります。
デオドラントソープには、ベンザルコ二ウム塩やトリクロサンなどの殺菌剤が配合されており、肌の弱い人は肌荒れやかぶれを起こすこともあります。
またメディカルソープには、消炎剤や保湿剤などが配合されているほか、アシルイセチオン酸塩やアシルグルタミン酸塩などの合成界面活性剤が使用されており、石けんという名前がついていますが、これは単に洗浄剤を表すもので、本来の石けんではありません。 |
Q: |
赤ちゃんには、ベビー用石けんを使った方が良いのでしょうか? |
A: |
赤ちゃんは新陳代謝が活発で、アセモなどもできやすいので、いつも清潔にしてあげたいものです。
沐浴をさせるときは、刺激の少ない石けんであれば、特にベビー用石けんにこだわる必要はありません。
エデト酸塩や香料など余分な添加物を含まない無添加の石けんを選んであげてください。
ベビー用シャンプーも合成界面活性剤や殺菌・防腐剤が入っているものが多いので、避けたほうが良いでしょう。
ベビー用に作られたものは、可愛い容器に入っていたりして見た目には楽しいものですが、中身は合成洗剤であることを忘れないでください。
基本的に赤ちゃんの洗髪に、シャンプーは必要ありません。
それでも使いたい時は、無添加の固形石けん一つがあれば、安心して全身を洗ってあげられます。 |
Q: |
アトピー性皮膚炎の人は、どんな石けんを選べばよいですか? |
A: |
アトピー性皮膚炎は、食べ物などを通じて体内に入った何らかの物質がアレルゲンとなり、発疹などを引きおこすもので、その原因も確かな治療法も見つかっていない現代病の一つです。
症状を改善し、かゆみを少しでも抑えるには、身の回りからアレルギーの原因となる合成洗剤を遠ざけることが肝心です。
市販の浴用石けんの多くは、アレルギーを起こすもとになる添加物が入っていますので、顔や体洗いには、肌への刺激が少ない無添加の石けんを選びましょう。
また洗濯には石けんを使い、できればシャンプーや歯磨き、台所用洗剤、住宅用洗剤なども石けんに切り替えましょう。 |
Q: |
石けんと合成洗剤は、どうやって見分けたら良いですか? |
A: |
パッケージの裏などに書いてある成分表示をチェックして、石けんを意味する「石けん素地」「カリ石けん素地」あるいは「脂肪酸ナトリウム」「脂肪酸カリウム」の表示があれば、それは石けんです。
それ以外の、よく分らないカタカナやアルファベットの成分名が多種類並んでいたら要注意、合成洗剤だと思われます。
また見た目は石けんでも、合成界面活性剤が主成分で、石けんとは言えないものもあるので注意が必要です。
それぞれの成分については詳しい人に聞いたり、インターネットで調べて見るのも良いですが、よく分らない場合はその商品をひとまず買うのをやめ、信頼できるメーカーの石けんを選ぶことをお勧めします。 |
Q: |
石けんと合成洗剤を見分けるテストがあれば教えてください。 |
A: |
酢を使って簡単に見分けられる方法があります。
ガラスのコップに水を3分の1ほど入れ、その中に調べたいシャンプーや洗顔フォーム、石けんなどを少量注ぎ、泡が出るまでかき混ぜます。
次にその中に酢を少量たらして、よく混ぜます。
その結果――
●泡が消えて水が白く濁る → 石けん
●泡が消えず液にも変化がない → 合成洗剤
●泡が消えず水が白く濁る → 複合石けん
※複合石けんは石けんに合成界面活性剤を加えたもので石けんではありません。 |
Q: |
健康や環境に有害な合成洗剤は、なぜつくられるのですか? |
A: |
第一の理由は、やはりコストです。
つくるのに手間とコストがかかる石けんよりも、洗浄力が強く、油とよく混ざる石油から作られた合成界面活性剤を使った製品をつくる方が原価を安く抑えることができるからです。
また、人体への影響や環境汚染に重大な問題があるにもかかわらず、現在の国の基準では合法的に製品化できることも問題の一つだと言えます。 |
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