ADHDは中枢神経系の機能異常が原因ではないかと考えられていますが原因は明らかになっていません。しかし、米国では栄養学的分析を行うことも注目されています。当研究所ではミネラルという側面から検証し、栄養アドバイスにより心身の成長・発育の支援が大切ではないかと考えています。
人間の身体には、異物(抗原またはアレルゲン)が体内に入った時、それに対抗する物質(抗体)を作り出すことで異物を排除するシステムが存在し、この反応を抗原抗体反応や免疫反応といいます。
アトピー性皮膚炎はこの反応が自分の身体に不利に働いてしまう病気で、アレルギー体質に様々な刺激が加わって生じる痒みを伴う慢性の皮膚疾患と考えられています。患者の約8割は5歳までの幼児期に発症し学童期に自然治癒すると考えられていましたが、近年、成人まで持ち越す方や成人してから発症・再発する方が増えています。
アレルゲンは卵やそば、小麦、牛乳などの食物や、ダニ・カビ・新建材などの住宅環境、金属、動物、ラテックス、環境汚染、ストレスなど様々です。しかし、明確な原因は解明されてないのが現状です。
<アトピー性皮膚炎の特徴>
かゆみがある。
一日中同じところをかき、血が出るくらいの勢いで掻くようになる。
湿疹と症状の現れる部位に特徴がある。
アトピー性皮膚炎の湿疹は、左右対称に現れるのが特徴。また、年代によって、症状の現れる部位が異なります。
乳児
主に顔や頭、ひどくなると、胸や背中、手足にも広がることがある。
子ども
首の周りや、ひじの内側やひざの裏側など、関節の内側にできることが多い。
成人
顔や首、胸や背中など、手でかきやすい部位に、症状の重い湿疹が多い。
湿疹が慢性化している。
ジュクジュクと表現される様な皮膚の状態湿疹が慢性化し、よくなったり悪くなったり繰り返す。
夏には、体温上昇や汗の刺激によるアトピー性皮膚炎の悪化が見られる。
肌を清潔に保つために、シャワーなどで汗や汚れを流すように心がけることが大切です。
冬場には、空気の乾燥によるアトピー性皮膚炎の悪化が見られる。
ドライスキン(乾燥肌)はアトピーの方に見られる特徴。空気の乾燥から肌を守ることが重要です。
自律神経が乱れる季節の変わり目にもアトピーは要注意。
毎年、アトピー症状が悪化す時期の記録をとり、生活に気をつけることが必要です。
<近年スギ花粉の飛散の時期にアトピー性皮膚炎の症状が悪化する方が増加しています。>
肌のバリア機能が落ちた部位に、アレルゲンとなる花粉が付着するために起こると考えられています。空気清浄機などの利用や、帰宅後、玄関先などで洋服などを叩き、室内に花粉を入れない工夫も必要です。
「表皮バリア破綻説」とは皮膚細胞がもっている身体の内外を分子レベルで隔てるバリアの働きが、なんらかの理由で障害を生じ、抗原の体内侵入が容易になることで免疫反応が慢性化・慢性抗原刺激となり、かゆみや湿疹といった症状が生じるのではないかとういう説です。この「表皮バリア破綻説」は、角質層に存在するセラミドという細胞間脂質がアトピー性皮膚炎をもつ方々に少ないという報告が発表され、セラミドの生成に関わる遺伝子が注目されたことが由来となっています。また、アトピー性皮膚炎はドライスキンの上に湿疹が起こるのが特徴で、ドライスキンもセラミドが関係しています。セラミドは細胞と細胞を糊のようにつなぐことで肌の潤いを保っていまが、アトピー性皮膚炎の方はこのセラミド量が少ないため皮膚が乾燥しやすく、健常者ならば遮断できる異物(アレルゲン)が皮膚から侵入されやすくなります。それによって抗体が反応し炎症(痒み)が生じると考えられます。
セラミドの生成を促進するためには、食品から「フィトケミカル」を摂取することをお勧めします。 「フィトケミカル」とは「フィト(植物)」と「ケミカル(化学物質)」の合成語で植物が持つ自己防衛成分を意味しています。
「フィトケミカル」はポリフェノールやイソフラボン、リコピンなどは、耳に馴染みのある色素成分で、赤や黄、緑、オレンジ、紫、白、黒の7つのカラーに分類することができます。特に、セラミド生成に役立つ原料は、黒の食品です。 黒の食品には、コンニャクやしらたき、黒ゴマ、黒豆、あずき、ワカメ、ゴボウ、そば、コーヒー、紅茶、黒コショウなどがあり、 中でも生芋が皮ごと入っているこんにゃくはセラミドを多く含む食品です。また、亜鉛や銅、セレン、マンガンは、セラミド生成を促がす抗酸化作用をもっているので、これらのミネラルを摂取することも大切です。
さらに、有害ミネラルの蓄積はアレルギーの原因になる活性酸素・過酸化脂質を除去する抗酸化物質・必須ミネラルの働きを妨害しますのでこの対策も大切です。
アトピー性皮膚炎の悪化の予防に関係する栄養素とその働き
栄養素 |
働き |
多く含む食品 |
ビタミンC |
ヒスタミンの働きを抑える。 |
柑橘果物、ブロッコリー、パプリカ |
ビタミンA |
目・口・鼻・咽・肺・消化管など上皮細胞の分化に必要粘膜の健康を保つ。 |
レバー、ウナギ、サーモン、ホタルイカ、カボチャ、ホウレンソウ、ニンジン、コマツナ、モロヘイヤ、ニラ、チンゲンサイ、のり |
ビタミンD |
免疫応答を調節し自己免疫疾患に有用。 |
ウナギ、イワシ、ニジマス、サンマサーモン、田作り、白キクラゲ |
ビタミンE |
ストレスに対する抵抗力を高める。 |
アユ、ウナギ、アナゴ、タラコ、アボカド、アーモンド、豆乳 |
ビタミンK |
免疫を調整し、抗炎症作用を持つ。 |
キャベツ、オカヒジキ、コマツナ、ニラ、ホウレンソウ、きな粉、納豆 |
フラボノイド |
抗菌、抗炎症、抗アレルギー、抗ウイルス作用に働く。
組織からのヒスタミン遊離を低下させる。 |
アスパラガス、ナス、トウモロコシトマト、パセリ、そば、黒豆、大豆茶、柑橘類の皮、タマネギの皮 |
カルシウム |
炎症を抑え、抗アレルギーに働く。
ストレスに対する抵抗力を高める。 |
シシャモ、干しエビ、ワカサギ、キビナゴ、田作り、ウナギ、アサリコマツナ、モロヘイヤ、切干し大根凍り豆腐、木綿豆腐、ワカメ、のり、アーモンド、ピスタチオ、ゴマ |
鉄 |
正常な免疫能に必要。
ストレスに対する抵抗力を高める。 |
レバー、シラス干し、牡蠣、アサリ、シソの葉、キクラゲ、小豆、そら豆、凍り豆腐、のり、アーモンド |
亜鉛 |
細胞新生や細胞増殖、皮膚形成に必須。
ヒスタミン生成を抑えアレルギーに対抗する。
抗炎症作用に有用。 |
レバー、牛肉(赤身)、ワカサギ、イイダコ、ほたて、牡蠣、ウナギ、田作り、タラコ、ホタルイカ、ホヤ、マイタケ、凍り豆腐、きな粉、ゴマカボチャの種、松の実、ココア |
システイン
メチオニン
タウリン |
蕁麻疹や湿疹の軟膏に使われ、アレルギーを緩和。 |
鶏肉、イカ、タコ、ホタテ、タラコ、大豆製品、ライ麦パン、インゲン豆 |
n-3系脂肪酸 |
炎症の調整反応に関与する。 |
亜麻仁油、しそ油、キウイ、くるみ |
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